常磐線 大野駅を訪れました

2020年3月に、ほぼ9年ぶりに再開となった常磐線の浪江~富岡駅間[1]に今回始めて乗り入れる機会があったので、ありったけの記録を行ってきました。現地に滞在したのは、7時21分の電車から下車してから次の電車に乗車する8時20分までのほぼ1時間でした。車などは手配しておらず、最も行動制限の範囲が大きい徒歩での散策となりました。

到着まで…

常磐線の仙台から原ノ町を経由して、大野駅を経て、最終的に勿来駅まで行く計画でした。

まずは原ノ町駅で乗り換えます。朝6時と結構早い時間帯の電車だったのですが、近くの高校生をはじめとして地元の方々が1両に10人程度乗っていました。

常磐線 原ノ町駅 駅名標
常磐線 原ノ町駅の駅名標

原ノ町駅で乗り換えた電車に揺られること約20分、目的の大野駅に到着です。この時間帯では、利用者は自分1人しかいませんでした。

常磐線 大野駅 駅名標
常磐線 大野駅の駅名標

駅から出て西口へ

駅舎自体は、昨年の全線開通を見据えて改修工事が行われていたようで[2]、バリアフリー化も含めて大変綺麗な雰囲気でした。休憩室やトイレなども利用しましたが、都内の下手な駅よりもよほど心地よいと思いました。

大野駅西口駅舎
常磐線 大野駅西口の全景

駐車スペースも東西合わせて、利用者数には見合わないと思えるくらい潤沢に用意されていました。復興後の利用を見越した上なのでしょうか。

線量計貸し出しステーション
線量計貸し出しステーション(大野駅西口)

駅西口を出て真っ先に目につく建造物は、この駐車場の角に設置されているプレハブ小屋の「線量計貸し出しステーション」です。9~16時に限定して、線量計を無償で貸し出してくれるようです。大野町はデータを見れば分かる通り、町内での空間線量率の高低差が著しく大きいため、こういった携帯式で測定できる機器の貸し出しは大変ありがたいと思います。最大1週間まで利用できるようなので、訪問の際は活用してみると良いかもしれません。訪問した時はまだ朝7時台だったので、実際に手にとってみることはできませんでした。

大野駅西口に設置されていた空間線量計
設置されていた空間線量率計(大野駅西口)

西口には、太陽光パネル併設型のモニタリングポストが設置されていました。駅近辺は除染作業が行われた上舗装されているため、周囲よりかなり低い値となっていますが、それでも東京都内の空間線量率が0.02~0.03μSv/hであること[3]を踏まえると、10倍近く高い値であることが分かります。(見た目は高いですが、それでも健康上の影響はないとされている水準内です。)

帰還困難区域のバリケードと荒廃した街
西口を出てすぐの道路はバリケードで閉鎖されている

駅敷地を出て、早速市街地へと進んでみようとしますが、ほとんどの道路がバリケードで閉鎖されていました。基本的に一帯は帰還困難区域に指定されていますが、大熊町は大野駅周辺の地域を「特定復興再生拠点」と位置づけ、早期の避難指示解除を目指してインフラ整備等を行っているそうです。[4][5]

バリケードのすぐ向こう側には廃墟と化したガソリンスタンドが見えます。植物が生い茂ってしまっていて、中の様子を詳しく見ることはできませんでした。

許可証の提示を求める看板
通行証を提示すれば通行が可能なゲート

バリケードの向こう側に正当な用事がある場合は、然るべき窓口に連絡し、許可証を提示することでバリケードを一時的に撤去してもらえるようです。

ガードレースに内閣府のサインがついているのが、少し特別感が出ますね…。

大野駅西口の商店街
大野駅西口から続く商店街

先程のガソリンスタンドの通りの反対側は、どうやら商店の立ち並ぶ中心街だったようです。写真では分かりにくいのですが、奥のほうの道路が波打っていて、先の大震災の爪痕をひしひしと感じることができます。

大野駅西口の建物
西口の建物の様子

大野駅西口を出てすぐの店舗兼住宅でしょうか。外装の大きな崩れなどは見受けられませんでしたが、内装はかなり荒れているように見えます。入り口がバリケードの向こう約50cmとかなり近いですが、それでも自由な出入りは不可能なようです。

唯一規制が解除されている道
唯一規制の看板が立っていない道路

大野駅西口は、常磐自動車道(E4)方面に繋がる道のみが特に規制の看板などなく、徒歩でも通行可能に見えました。(奥の方に進んでいくと、歩行者規制があるのかもしれませんが。)ただ、この沿線も基本的にはバリケードが張られているようで、自由な立ち入りはまだ不可能でした。

大野駅西口の風景
大野駅西口の風景

最後に大野駅西口の写真を。「Welcome to Ohkuma」というバリケードの向こう側の看板が、なんとも言えない雰囲気を醸しています。

駅の反対側の東口へ

次は駅の反対側、東口に向かってみます。

大野駅東口の看板
大野駅東口に出ると、この看板がすぐ目に入る

広めの駐車スペースとロータリーの一角に、この先は四輪車以外の通行は禁止となっていることを告げる看板が複数立っているのが目に入ります。駅周辺の規制状況は駅西口とほとんど同じで、東口の場合は国道6号に繋がる主要道路1本以外は入ることができませんでした。

大野駅前の公園に立つ看板
大野児童公園の前に立つ看板

ロータリーから出てすぐに大野児童公園という駅前公園があるのですが、そこにも「この先歩行者は通行できません」という看板が立っていました。これだけでもなく、国道6号に繋がる主要道路には目に見える限りいくつもの同様の内容を示す看板が立っていました。それだけ、まだ線量が高いということなのでしょう。

大野児童公園の中の様子
大野児童公園の中の様子

大野児童公園は、かなりの時間放置されている様子で、背の高さくらいの草が地面が見えないほどに生い茂っていました。この一帯は電気が不通なのか、単に故障しているだけなのか、時計が2時ほぼちょうどを指したまま止まっています。10年以上、遊具は使われていないと思うのですが、遠目に見ると結構まだ新しそうに見えました。

市の施設に繋がる道路
大野駅東口のロータリーを出てすぐの道

この道路も国道6号に繋がっているのですが、背中側を通す代わりにこちらは封鎖されているようです。この先には町の図書館や文化センターなど、主要施設が立ち並んでいます。(Google Mapsだと施設名が一切出てこなくて苦労しました。国土地理院の地図が信頼できます。)

大熊町安心安全ステーション
おおくま安全安心ステーションの外観

ロータリーから出ているまた別の道の先には、「おおくま安全安心ステーション」という施設がありました。バリケードの少し向こう側なので、同様に自由に立ち入ることはできません。屋根に立つ配線(?)などは地震の影響なのか、かなり歪んでしまっている印象です。また、遠目の写真で通じにくいのですが、ステーションの看板に書いてある熊の絵が劣化して、かなりホラーチックになっています…。

大野駅東口の全景
常磐線 大野駅東口の全景

こちらは大野駅の東口からみた駅舎です。東口は国道6号と直接繋がっているため、新常磐交通のバス路線になっていました。行き先は2駅南の富岡駅前行と、福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)[6]行の1系統で、1日に各方面行が4本通っているようです。

駅舎に戻って

徒歩での行動圏が正直なところかなり限られているので、本気で見学をするのであれば別の交通手段を持っていたほうが良いのかもしれません。

大野駅に到着する列車
常磐線 大野駅にいわき方面から入線する列車

大野駅は、先述の改装の際に単式化(2番線ホームまであったものを、片方潰した)にしたそうです。写真左側の不自然に舗装された部分は、その名残らしいです。

大野駅の休憩室に設置された端末
大野駅の休憩室に設置されていた、付近のモニタリングポストの計測値を閲覧できる端末

大野駅の休憩室には、もちろん休憩できる施設が整っていたのですが、それ以外にも付近のモニタリングポストの計測値を地図上で閲覧することができる端末が設置されていました。青色のインジケーターの観測点から黄色のインジケーターの観測点まで、町内の空間線量率はこれを見るだけでも最低値と最高値の差は約40倍と、かなり上下があることが分かります。

最後に、当駅付近に滞在したのは約1時間程度でしたが、利用者を10人くらい見かけました。ただ、スーツを着ていたりしていたので、住民の方ではなさそうです。

参考文献

[1] 大野町 (2020) 『大野駅が再開しました』, https://www.town.okuma.fukushima.jp/soshiki/somu/13998.html
[2] 大野町町議会 (2018) 『おおくま』, pp.2, https://www.town.okuma.fukushima.jp/uploaded/attachment/4550.pdf
[3] 東京都健康安全研究センター (2021) 『環境放射線測定結果』, http://monitoring.tokyo-eiken.go.jp/
[4] 環境庁 (2021) 『特定復興再生拠点[大熊町]』, http://josen.env.go.jp/kyoten/ohkuma/
[5] 復興庁 (2021) 『特定復興再生拠点区域復興再生計画』, https://www.reconstruction.go.jp/topics/main-cat1/sub-cat1-4/saiseikyoten/20170913162153.html
[6] 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 (2020) 『再エネを利用した世界最大級の水素製造施設「FH2R」が完成』, https://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_101293.html

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